疲労骨折とは・・・?

疲労骨折とは同じ部位に繰り返し小さな衝撃がかかることによって起こる骨折のことで、陸上競技の長距離種目の選手に多い障害と言われています。


疲労骨折の予防

疲労骨折の予防には様々な角度からの対策が必要です。

栄養

アスリートの必要な食事は毎食に
「主食・主菜・副菜・乳製品・果物」が揃っているとベストであると言われています。

その中でも疲労骨折の予防や回復に焦点を当てると、
まず骨をつくる材料であるカルシウムタンパク質。カルシウムの吸収を良くするビタミンD、骨を強くするために必要なビタミンKといった栄養素が必要です。


また、無月経に着目していくとエネルギー不足が原因となることが多い為、エネルギーの補給も大切になります。

トレーニング

練習の内容が変わる*高校1年生の5月あたりは最も気を付けて欲しいタイミングです。(その他、高校生から大学生や実業団へステップアップする際も注意。)中学生から高校生へと上がるタイミングには練習環境や指導者含め、今までとは環境が大きく変化します。

指導者には中学時代(高校時代)のトレーニング内容はどんなものであったのかをきちんと伝え、不調が起きた際には勇気を持って早い段階で状態を伝えられるようにしましょう。

月経不順の改善

月経不順や無月経が原因で骨が弱くなり、疲労骨折を起こすリスクが高まると言われています。
陸上競技の長距離選手やフィギュアスケート・体操などの選手に無月経が起こりやすいとも言われており、15歳でも初経が来たことが無いという選手は受診が必要になります。

しかし、月経不順を治す為にピル等を使用した治療をすることで体重が増加する事もあります。そのリスクがあるということも踏まえながら、種目や競技に理解のあるスポーツドクター(産婦人科)への受診は一つの改善策であると考えます。

また直近で大きな大会を控えている場合などはコンディション変化のリスクを踏まえて可能であれば避け、オフシーズンや競技へ支障が出にくいタイミングでの受診をオススメいたします。

受傷してしまったら

疲労骨折にも段階があり、ぼやっとした痛みから歩けなくなる状態に至るまで、また部位によっても回復の日数も異なります。基本的に受傷直後にはレントゲンで映らないため、すぐに調べたいと言う場合はMRIなどでの診断が有効的です。

疲労骨折を受傷してしまったら部位や程度にはよりますが、最低1ヶ月~3ヶ月程度走る練習やジャンンプ系のトレーニングは中止するようにしてください。

その上でなぜこの部位に過度に負担がかかってしまったか⇒お尻の筋肉が弱い、全体のバランスが崩れている、アーチが崩れているなどの改善や原因究明をし再発防止に努めて下さい。

また、一度疲労骨折を起こすと復帰までに時間がかかることから、無茶な復帰をしてしまうとかえってまた違う部位へ負荷がかかり怪我を招きやすくなります。必ずきちんと復帰ができる状態であることを確かめてからの完全復帰を目指しましょう。


~復帰への道のり~


☑ 完全復帰までの計画を立てましょう!
何月何日の大会で~の記録を狙う!

⇒ポイント練習を~月~日にできるようにする
⇒その為には~月~日にJOG開始
⇒今週のメニューは(7日分)という逆算方式で考える。

~参考~
【計画表4週間分】
プリントアウトして計画を立ててみよう!
【計画表1週間分】
プリントアウトして計画を立ててみよう!


☑ メニューを立てる際は普段の練習と同じように、
緩急を付けることがオススメ。
※毎日~分BIKEだけではなく、目的を持ってこの日は心肺機能を鍛えるメニュー・ポイント練習・次の日はアクティブレストなど

☑ JOGに復帰するタイミングは
片脚ジャンプが連続10回できるかをベースに。
※ランニングは片脚ジャンプの連続です。その場での片脚ジャンプが痛み無く10回できるかを復帰目安にしてみてください。

また、JOGの距離もいきなり40分など走らないように、WALK+JOGなどを取り入れて最初は5分~10分程度からスタートしていきましょう。
次の日の起床時に痛みが増えていないかを指標に少しずつ時間やペースを増やしていけるようにしてみてください。

☑ 別練習期間でも
指導者とのコミュニケーションを大切に
・別練習となると指導者から離れてしまう選手が多い傾向にあります。
指導者も選手の復帰を必ず待っています。報告・連絡・相談を怠らないようにしましょう。

☑ 走れない練習でも強くなる方法は盛りだくさん!
・走れないから強くなれないではなく、走れない時こそ自分の弱点強化を。
体幹が弱い、メンタルが弱い様々な自分の弱点を克服できる期間と捉えましょう。

☑ 自分にあった治療を
・整体やマッサージ、鍼治療、お灸、体外衝撃波、超音波、酸素カプセルなど様々な治療があります。

どの治療が受傷した箇所に合うかどうかは個人差もあるため自分に合った治療を受けるようにしましょう。

【参考文献】
*J-STAGE Articles - 体力科学 第 71巻 第 4 号 319-331(2022)若年男性陸上長距離選手における疲労骨折の危険因子に関する研究 -トレーニングの量と強度の観点から-濵野 純, 田中 綾乃, 田畑 泉